規制は脳を退化させる
毎年のことながら、今年のゴールデンウイーク初日にも
各地で賑わっているイベントや施設の様子、ふるさとや
海外に向かう人々の様子などがメディアに流されていました。
でも、これまでのゴールデンウイークと今年はちょっと
異なるニュースが飛び込んできました。
それは関越自動車道で起きた高速ツアーバスの事故。
死者7名、運転手を含む重軽傷者が39名と何とも
痛ましい事故でした。
格安料金をうたい文句に、高速バス利用者はここ数年
大幅に増加しているようです。
私が勤めるオフィスの近くにも大型バス駐車場があります。
夜9時から10時ぐらいは大型バスとそれに乗り込む人で大混雑。
一昔前だったら、高速バスに乗っているのは若い人が中心。
東京ディズニーランドに向かう夜行バスに乗り込む若い男女を
多く見かけたものですが、最近では夜行バスに乗り込むのは
スーツ姿のサラリーマン(出張で利用?)や熟年夫婦(旅行?)、
はたまたリクルートスーツ姿の学生さんまで老若男女問わず。
路線が以前に比べて増えた影響もあるのでしょうが、今では
幅広い多くの人が気軽に利用する交通手段になったようですね。
ところが今回のような悲惨な事故が発生してしまい、改めて
その安全性が問われています。
今回の原因は居眠り運転の疑いが強いようですが、いずれにせよ、
急成長や競争の激化で安全面での対策がおろそかに
なっていたのも事実でしょう。
そんな中、国土交通省は安全基準を見直そうという動きに
出ているようです。
ちなみに「旅客自動車運送事業運輸規則」第21条には
(過労防止)に関する項目もあり、そこには
「旅客自動車運送事業者は、過労の防止を十分考慮して、
国土交通大臣が告示で定める基準に従つて、事業用自動車の
運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転者にこれらを
遵守させなければならない。」
とあります。
また時間だけでなく、距離に関しても国土交通省では
基準を決めてきたようで、
「高速バスを一人で走らせる際の1日当たりの距離は670km」
としているそうです。
今回の群馬県の事故を受けて、この距離を見直すことも検討し、
安全対策を進めたいと新聞報道でも出ていました。
このように事故が起こるたびに「安全基準」が見直されてきたのは
ご承知の通りです。
原発に関する規制もそうですよね。
ただ、いくら安全基準を作ってもそれを運用するのは人で
あることをまさか忘れてはいませんよね。
本当に規制を強化すれば、安全な運行が可能になるのでしょうか?
例えば、一人で運転するのは670km以内と決めていたのを、
400km以内とすれば事故は無くなるのでしょうか?
ことはそんなに簡単ではないことは容易に想像できますよね。
(もちろん距離を少なくすれば事故数が少なくなる可能性は
あるかもしれませんが…。)
規制は人を一時的に制御することは可能かもしれません。
規制は人を表面的に制御することは可能かもしれません。
しかし、それでは規制に従うのみで、頭で考え行動する人間を
育てる事にはつながりません。
今回の事故ではツアー会社の人がこんなことを言っていました。
「違法な運営をしていたことはないが、適正な運営かと言えば
そうとは言えないかもしれない」
法律に従っていれば大丈夫という感覚があったのは事実でしょう。
しかし、バスを運転するのは人です。
「○○時間運転すれば疲れる」
「○○だけ走れば休憩が必要になる」
何て、人によって異なりますよね。
同じ人でもその時の体調などでも違ってきますよね。
それを一律に「規制の範囲内だから」と何も考えずに
運航していたのでは、また同じような事故が起こるのでは
目に見えているように思います。
もっと言うなら、何も考えなかったら脳が退化してしまいますよ。
今回の事故を受けての対策は規制を強化する事ではなく、
規制内であっても、個別の運転手に応じた適正な運行とは
どのようなものかを示すことではないでしょうか?
どうも国土交通省というお役人の考える事は短絡的でしか
ないような気がします。
企業で人を育てる場合でも同じです。
一律に研修を行っても、それを理解し自分のものにできるかの
進度は個人により異なります。
それを見極め、個別の対応をすることが、結局は全員の能力を
高めることにつながるのではないでしょうか。
つまり、進度に応じた細かい気配りが組織には求められるのです。
高速バスを運転するのは人です。
組織を作るのも人です。
一律の規制では退化した脳の集団になって、次の規制(指示)を
待っている人しか育てることができないのです。
まあ、右を向けと指示を出せば何も考えずに、ずっと右を
向いたままの人間を育てたいのであれば別ですけどね。
規則は人を(一時的に)制御することができたとしても、
決して人が持つ能力を高めることはできないのです。
規則+個別対応が人材育成には必要なんですね。

